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ヨセミテ出発の2ヶ月前、急遽、降って沸いたように決まったヨセミテ行き。 いつかは行ってみたいと思っていた彼の地「ヨセミテ」。 でも、それは希望であっても願望ではなく、是が非でも行かなければならない理由もない。 経済的な理由が伴えば、簡単に後回しになってしまう消えそうな位の小さな憧れだった。 彼の地で、何をみるのだろう?何が待っているのだろう? 恍惚と不安に武者震い。 ・・・憧れのチケットを手にした僕の中に新たな火が灯った! ヨセミテ行きが決まってから出発までは、慣れない海外旅行の準備で、慌しく日々が過ぎていった。 サンフランシスコ空港を出てから9時間後。 入り口のゲートをくぐったのは完全に日没後だった。 「ここからヨセミテ国立公園だよ〜」ハンドルを握る小田さんが嬉しそうに教えてくれる。 いろいろあったのですっかり夜。 ロングドライブに飽きて休止状態だった脳みそも再起動。 待ってましたと景色に目を凝らすが、周りは真っ暗。 外灯などもちろんないのでライトと月明かりに照らされた部分以外は何も見えず、目に入るのは松の巨木ばかり。 ビデオでさんざん見慣れているはずの景色がどこにもない。 「あれ」はどこだ?いつ出てくるのだ!? その瞬間を待ち構えて一気に緊張が走る。 実はヨセミテ国立公園の総面積は神奈川県のそれと同じくらいだそうで、クライミングで有名なヨセミテバレーはその一部でしかない。 このときの僕の中のヨセミテはせいぜい小川山くらいの広さしかなく、その本当の大きさなど想像できるはずもなかった。 30分も経ったろうか。月明かりも届かない闇の中のドライブ。 森が深いので、ライトだけが頼りのワインディング。 その光に照らされる枝の隙間にさっきからチラチラと白いものがのぞいている。 「何だ・・・?」 車のスピードに合わせて枝がひとつ退くたびにその面積は急速に拡大し、鼓動は一気に高鳴った! 空じゃないぞ!あれは・・・!! 衝撃の光景だった。 遮るものがなくなり目の前に現れた白い帯。 夜空と大地の間に広がる理解を超えた大きさの壁たち。 なかでも圧倒的な存在感を放ち、周りの壁を引き連れるように登場した白い影。 「エルキャピタン!」 ビデオや写真ではお目にかかれない夜の顔。 月光を浴びて静かに出迎えてくれていた。 「すげ〜! かっこいい! 神々しい!」 憧れとの邂逅(かいこう)にひたすら興奮し、感動するばかりであった。 |
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到着した時には真っ暗。 |
| エルキャプタンの基部にて。 ここに来ると、やっぱり、ビッグウォールクライマーを眺めてしまう。 |
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| ひときわ存在感のあるエルキャプタン。 | ||
| ヨセミテならではの光景。 エルキャプタンの頂上に行くには、 こんな荷物を持って、 何日も壁を登るのです。 |
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奥のまっすぐのクラックが全長45mのサッカラークラッカー5.10a。 登っている小さな人が分かりますか? 誰もが、このルートでヨセミテの洗礼を受ける(?!)。 エルキャプの頂上は、はるか頭上。 |
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ヨセミテのワイドクラック入門。 慣れれば、楽ちん。 |
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| ボルトルートのspakling Give away (5.11a) |
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| みんな、大分、疲れちゃってます。 | ||||
| 全5ピッチのマルチピッチ「セントラルピラーオブフレンジー」。 | ![]() |
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残すところ1ピッチ。 | |
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ビレイポイントにて。 | |||
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| 視線の先には・・・やっぱりでかい! | ||||
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レスト日には、 ボルダーも楽しんだ。 |
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| 先生、本気になっちゃいましたね。 | ||||
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もちろん、観光名所グレイシャーポイントにも行きました。 | ![]() |
| この景観、現実の物とは思えないほど、美しい。このままの景色が目の前にある。 |
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| メンバーの力作「パエリア」。 | 翌日のマルチピッチに向けて、支点の復習。 | |||
| 今日はご馳走。 | ||||
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クライミングの前にオルムステッドポイントに寄る。ここも、素晴らしいビューピントだ。 | ![]() |
| 白い地面は全て、岩盤である。 |
| 岩を見ると、 すぐに登ってしまう人たち。 |
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| 岩場へのアプローチ。 | ナチュラルプロテクションでのマルチピッチ初リード。緊張する。 | |||
| 「ウェストカントリー」ルート取り付きにて。 | ||||
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| さえぎる物は何もない。 | ||||
| すぐ後ろのテナヤ湖が美しい。 | 雲が出てきたが、 相変わらずきれいな空だ。 |
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| もうすぐ、頂上。 | 終わった、終わった! ちょっと、休憩。 |
頂上では、こんな素晴らしい景色が待っていた。 | ||
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マルチの後はショートピッチでリード。 かなりのランナウトで、緊張しっぱなし。 さすが、ヨセミテ。 |
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| 下降は歩きで・・・ 結構怖い。 |
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| 目標にしていたアウターリミッツを登れて 感極まって抱擁。よかったね! |
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| 最終日は人気エリア:クッキークリフへ 人気ルート:アウターリミッツ。 |
すごい高度感だ。 | |||
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ヨセミテに到着してから、連日、日本では到底、体感し得ないクライミングを体感している。 やっと、ヨセミテでのクライミングにも、慣れてきた。 日本でのクライミングしか知らなかった自分にとって、ヨセミテでの数日間は、 「打ちのめされ」「驚かされ」「気付かされ」の連続で、クライマーとしての自分の無力さをイヤというほど、思い知らされた。 最終日、クライミングを終えて、車まで戻る闇の中、松林の枝の間から星がのぞく。 その星をひとつずつ追いかけながら、今日までのヨセミテでのクライミングの事を考えていた。 ここで体験しているこれがグローバルスタンダード。 そして皆当たり前に楽しみながら登っている。 日本しか知らなかった自分はすでに過去の人になっていた。 気がつくと、追いかけていた星たちは、実はエルキャプタンの中にうごめくヘッドライトたちだった。 (ビッグウォールを登っている人たちが壁の中でビバークしている明かりの事) 瞬きながら人の存在を示している。 巨壁の星。 いつかあの壁の中の星になれるだろうか・・・ 僕の中にひとつの憧れが芽生えた夜だった。 |
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